カロト家の日記
March 19, 2019
彫金 リングのロウ付け
カロト レザーハンドメイドはすべての革製品を手作業で製作しています。
ひとつの作品が生まれるまでにたくさんの工程があり、そのどんな工程にも自分たちオリジナルの作業があったりします。
その中でも特に、ちょっと変わった作業が「彫金でリングを作る」です。
リングと言っても指輪じゃなくて、ファスナーの革のつまみと金具を繋ぐ金属のリング。
直径8mmほどの小さなリングの製作です。
昔京都のカロトで働いてくれていたAIちゃんと言う元スタッフの女の子が大学の時に習得した彫金の技術を伝授してもらい、今は僕がやるようになりました。
手仕事の楽しさがたっぷり詰まった彫金の作業、とっても細かい作業ゆえになかなかの集中力が要りますが、綺麗にできた時は本当に嬉しいんですよ。
それでは今日も製作風景レッツゴー!
洋白という金属の棒をドライバーの軸に巻いていきます。
洋白とは聞き慣れない言葉ですが、ラジコンに馴染みのある方はご存知かな?あのアンテナに使われている素材です。(タミヤ懐かしい!)
かなり硬くて粘りのある素材の特徴の通り、力いっぱい巻いていかないと棒がバビョーンと戻ろうとします。(怪我注意!)
巻き終わったコイル状になったものを金属用のニッパーで切断していきます。
パチンパチンとリズムよく。
切り離すとリング状になりましたね。
お次はリングの切れ目を繋いでまん丸のリングしてきます。
金属を繋ぐために使用する銀ロウを準備します。
板状の銀ロウをまず1mm幅の細い帯状にしてから、さらに1mm角の細かい粒状に切っていきます。
ハァ〜細かい。。
形を整えたリングを酸化防止の液につけて、それからロウ付けするところにフラックスを塗って、先ほどの細か〜い粒銀ロウを乗っけて(指の震えとの格闘です)
バーナーで熱を加えていきます。
この時いきなり勢いのあるバーナーの火を当てると粒銀ロウが吹っ飛んでいくので、加減が大事。何事も。
溶けた銀ロウがリングの切れ目を繋ぎました。よく見えない方、写真をクリックで拡大してね。
熱々のリングを水に落としていきます。ジュ、ジュ。
かなり大量のリングが出来ました。
さて、ここからは磨きの作業です。
半丸のヤスリと平ヤスリで余分な銀ロウを削り取っていきます。
ザラザラした部分がだいたい無くなればオッケー!
母からのお下がりのルーターでさらに磨いていきます。ウィン〜ウィン〜(母、どんなけ物持ちいいねん!)
この時、しっかりクランプで挟まないと小さなリングは部屋の隅っこに飛んで行くので注意。
仕上げはスチールウールで全体的に磨きあげ、ピカピカになりました。
手前が完成品、なかなか綺麗に仕上がりました。
なかなかこういうものは売られていないんで、仕方なく作るようになったんだけど。
この彫金作業、年に一度か二度のカロトにとってはなくてはならない仕事となっている。
好きこそものの上手なれ。
最初から簡単には出来ないけど、もの作りが好きだから、昔より確実に上手くなっている。
手仕事による小さなピースの集合体によってカロトのものは出来ている。
ファスナーを使った商品を購入された方はぜひ、この彫金のリングもじっくり見て欲しい。