正月の帰省の際、久しぶりにフィルムの一眼レフで写真を撮った。
この古い一眼レフは、僕がフランスに旅行に行った時に出会った大切な人から譲り受けたもので、僕の宝物のひとつだ。
その彼はちょうど一年前、天国へ旅立ってしまって、今じゃ形見になってしまったそんな大切なカメラだから、この正月にはこのカメラで写真を撮ろうと決めていた。
デジタル全盛のこのご時世だけど、どんなすごいカメラよりも、僕はこのカメラで撮るなんとも曖昧なぼやけ具合が好きだし、自分の好きな写真が撮れる。
思い出のたくさん詰まった物こそ、長く使い続けられる事が大事なんじゃないかと、自分たちの仕事に重ね合わせたり。
あの人は旅が好きだったなぁ。もう旅から戻って来ないんだろうけど、ひょいっとまたいつものように現れる気もするけどね。
もう姿は見えなくても、あの人は今も僕の手の中で一緒に旅をしている。