カロト家の日記
January 30, 2020
10年の時を経て 革製品の修理
くったりと味の出たレザーポーチ。
京都にお住まいのお客様のオーダーにて作らせてもらったものです。
僕たちがやっていた京都のカロトでこの作品をご注文いただいたのは10年ほど前。
お店を京都から移転したので、お客様は苦労してカロトギフを探して見つけてくださったそう。
愛用していただく中で糸が擦り切れてほつれが出てきたり、ファスナーが緩くなってきたということで、お電話にて修理依頼を受けました。
10年の時を経て、自分の元に戻ってきたポーチをじっくりと観察すると、大切に使ってもらっていたんだということが伝わってきます。
こうしてご連絡をいただけて、自分が作ったものが手元に戻ってきて、修理をさせてもらえるということは本当に喜ばしいことです。
まずは縫い糸を解いていき、パーツをばらばらに分解していきます。
分解されてパーツに分かれたポーチ。
汚れを拭き取り、オリジナルのレザートリートメントで油分を補っておきます。
経年劣化で緩くなっていたファスナーは新しいものに取り替えます。
パーツに分かれていたものを再び縫い合わせ、元どおりの形に。
全て手縫いでひと針ひと針じっくりと縫い進めていきます。
修理が完了したポーチ。こちらは裏側、「calotte leather handmade」の革タグも新しいものに変えようかと思ったけど、
味の出た革タグもかっこいいので、今回はそのまま生かすことにしました。
交換したファスナーの開け閉めも気持ちよくスムース。ファスナーのつまみも新調してとても綺麗になりました。
10年後、また僕たちの元に戻ってきて、さらに味の出たポーチを見れる時を楽しみにしています。
これからも大切にご愛用してくださいね。
こちらは毎日愛用してくださって、たくさんのカードが収納されてパンパンだった長財布。
許容量を超えて収納されると、お財布に負荷がかかるところが多く、あちこち糸がほつれていました。
お財布の外側をぐるりと一周縫っている糸を全て解いて縫い直しました。
糸の縫い直しの修理と同時に内側も汚れを落としてレザートリートメントでメンテナンス。
磨かれて自然な艶がとても美しく綺麗になりました。
カロトの革製品は全て修理が出来るように考えて設計/製作しています。
全ての作品を、手作業/手縫いで製作しているという点もメンテナンスをする上で重要な要素です。
大切に使われてきた愛着のある革製品は、修理やメンテナンスをすることでさらに永くお使いいただくことが可能となります。
壊れたからと別のものに買い換えるよりも、これまで使ってきて手に馴染んだものを修理してさらに愛用してもらえるととても嬉しいです。